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コラムカテゴリ:整形外科
ひざの痛みに対しての専門的治療
公開:2025.01.16
更新:2025.03.11
閲覧数:86view
スポーツ外傷・障害の専門的治療
関節鏡による最小侵襲手術
早期スポーツ復帰のために手術手技のみならず、手術前のケアや術後のリハビリプログラムなど専門性の高い知識・技術が必要とされます。当院整形外科では、手術治療の多くを関節鏡での最小侵襲手術で行っており、専門医が知識・技術の向上に努めながら治療を行い、早期のスポーツ復帰をサポートしています。

関節鏡

半月板損傷

半月板部分切除

関節内遊離体切除+microfracture法

前十字靭帯の断裂

前十字靭帯再建術
ひざの関節軟骨再生医療 「ジャック」 (保険適応)
関節の動きを滑らかにする関節軟骨は、ひとたび傷むと自己修復能力に乏しく、自然に再生することはありません。これまで、損傷範囲が限局した比較的小さいものには、関節鏡視下デブリードマン(クリーニング)、マイクロフラクチャー法、自家骨軟骨柱移植術などの手術を患者さまの状態に合わせて選択、治療してきました。一方大きな損傷では正直これまで有効な治療法がありませんでした。
自家培養軟骨細胞移植「ジャック」は、整形外科領域において日本で初めての自家細胞を使用した再生医療です。手術方法は、患者さま自身の膝関節の非荷重部(体重がかからない場所)から 0.4g程度のわずかな軟骨をあらかじめ採取して、コラーゲンとともに3次元的に4週間培養し、出来上がった培養軟骨を軟骨損傷部に移植する方法です。術後非荷重期間が4週間必要で、入院期間は最短14日から1か月間必要です。
適応は、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎のうち、ある一定の条件を満たすもので、残念ながら今のところ変形性膝関節症には適応はありません。
当院は、ジャックの治療経験もあり、治療可能な認定施設です。
自家培養軟骨移植術(ジャック )のフローチャート
変形性膝関節症の専門的治療
中高年者のひざの痛みに対しては、レントゲン検査やMRI検査を行い、軟骨の状態を確認し、その障害の程度によってリハビリテーションや下肢のアライメントを整える足挿板などの保存的治療から、関節鏡、骨切り術及び人工膝関節と様々な手術を行っています。これまでの治療経験をもとに一人ひとりの患者さんに最適な治療を提供しています。
超高分子ヒアルロン酸注射 (保険適応)
変形性膝関節症の治療には、従来からヒアルロン酸製剤の関節内注射が実施されており、通常は平均分子量90万、190万といった製剤を使用します。また、従来のヒアルロン酸で十分な効果が期待できない場合には、平均分子量600万以上の高分子ヒアルロン酸を成分とする高い粘弾性のものも当院で使用可能です。この「高分子ヒアルロン酸注射」も健康保険適応であるため3割負担で約3,000円程度で受けられます。
関節鏡手術(Arthroscopy)
中高年者の膝の痛みの中には、投薬、注射やリハビリなどの治療を受けても効果が見られないことがあります。このような場合、半月板損傷や関節軟骨損傷(関節内遊離体)が原因になっていることがあります。半月板損傷や、関節軟骨損傷は、レントゲン検査では判明しにくいためMRI検査を行い、検査で異常が認められる場合には、小さな切り口で大きな効果が得られる関節鏡視下手術をおすすめします。
関節鏡の手術の傷は、約5mm程度のものが2か所で、ほとんど目立ちません。また入院も数日~1週間程度で、職場復帰も比較的早く可能です。

半月板損傷

半月板部分切除
高位脛骨骨切り術(High Tibial Osteotomy : HTO)
人工関節手術は良い手術方法ですが、耐用性に問題があるため30~40代で手術を受けるとその後再手術が必要となる可能性があります。そのため、比較的若い人の変形性膝関節症ではO脚変形によって内側に偏った過重なストレスを、自分の骨を切り少し脚の形を変えることで軟骨障害の少ない外側に移動させる高位脛骨骨切り術(HTO)の手術を行います。HTOは、荷重負担が減り、すり減った軟骨の再生を促す効果もあります。またHTOは通常関節鏡手術を併用して行います。
人工膝関節手術(Total Knee Arthroplasty : TKA)
変形性膝関節症の中でも、軟骨のすり減りが進行した末期の状態では人工膝関節手術を行います。人工膝関節手術は傷んだ関節の表面を取り除き、人工の関節に置き換える手術です。
当院の人工膝関節全置換術の6つの特徴
3次元CT画像でのコンピューター支援術前のプラニング
3次元解析ソフトZedKnee (LEXI社)を用いて、CT画像に基づいて綿密な術前計画を行います。骨切り角度、人工関節のサイズを術前に測定し、適切なサイズをシミュレーションし、人工関節を適切な位置に設置することができます。従来の方法に比べて、より正確に術前計画をたてることが可能となり、手術のリスクが軽減されます。
MIS-TKA
当院では、MIS(Minimally Invasive Surgery:最小侵襲手術)が人工関節手術に導入された初期の時期よりMIS-TKAを行っています。MIS-TKAでは手術の傷を最小限にするだけでなく、筋肉や腱への侵襲をできるだけ少なくし、翌日からのリハビリテーションを可能にし、術後の早期機能回復を目指します。
またMIS-TKAでは出血量も少なく、当院では必要に応じて貯血式あるいは、術後回収式自己血輸血も行っており、輸血の可能性もほとんどありません。入院期間は最短14日間から1か月程度で患者様の能力に合わせて最適なリハビリテーション期間を設定して十分な術後療法を行います。
オーダーメイド(PSI)人工膝関節置換術
患者さまそれぞれ顔、体格、性別が異なるように、ひざ関節の形状も様々です。患者さんのCTやMRI画像に基づく3次元画像データから、3Dプリンターを用いて製作した患者さん専用の設計 PSI(Patient Specific Instrumentation) により、個々の患者さんの関節の骨のモデルを作成し、その人の関節の形状に合った、特注の骨切りガイドを作製し、正確にインプラントを設置できるようにする方法で、いわゆるオーダーメイド手術です。
ナビゲーションによる正確なインプラント設置
綿密に行った術前計画を手術中に正確に再現するため、当院では、日本ストライカー社製のナビゲーションシステムを使用しています。これにより、1mm 1度単位で人工関節の設置が可能となります。また、手術中にひざの靭帯バランスが正しくとれているかも、数字で可視化されます。
これまで外科医の手の感覚であったものから、コンピューターによる測定を行うことで、より正確に手術を行うことが可能になります。
靭帯・骨軟骨を残す部分置換術 -人工膝関節単顆置換術(UKA)
ひざの変形が比較的少ない患者さまには、より低侵襲な部分置換術をうけることも可能です。一般的に人工膝関節置換術とは全置換術で、これは3つの関節(内・外側・膝蓋骨)全て、または膝蓋骨を除く内・外両側の関節を人工関節に換えるものです。それに対し、3つの関節の中から痛みの原因となっている内側か外側の膝関節軟骨のすり減った1ヶ所だけを人工関節に置き換える手術を人工膝関節単顆置換術(Unicompartmental Knee Arthroplasty : UKA)といいます。UKAでは、全置換術と比べて手術の傷跡も小さく、出血も少なくてすみます。さらに手術後の腫れも軽くなります。また、膝関節内のすべての靭帯を温存することが期待できるなど、身体への負担も軽くなり、手術後のスムーズなリハビリテーションや早期の回復が期待できます。
ロボットリハビリテーション
術前多くの患者さまは、ひざ関節を数ヶ月から長期にわたり患うことで機能障害をきたしています。そのため、下肢の筋力、関節のうごきの低下を認め、術後すぐには脚があがりにくいことが多くあります。Honda歩行アシストは、「倒立振子モデル」に基づく効率的な歩行をサポートする歩行訓練機器です。歩行時の股関節の動きを左右のモータに内蔵された角度センサで検知し、制御コンピューターがモータを駆動することで股関節の屈曲による下肢の振り出しと伸展による下肢の蹴り出しの誘導を行い、効率的な歩行をサポートする歩行訓練機器です。当院では2020年度から導入し、術後歩行が自立しているものの筋力が低下している、歩行バランスが悪い、歩くと疲れやすいなどの患者さまの効率的な歩行の獲得に役立てています。
Honda歩行アシストによるリハビリは、日本リハビリテーション医学会の研究助成により行いました。
Honda公式サイトはこちら
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