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コラムカテゴリ:皮膚・形成外科
眼瞼下垂症の原因と治療法
公開:2025.01.16
更新:2025.03.11
閲覧数:52view
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは
一般的には、顔を正面に向けた時にまぶたが瞳孔(黒目の中の光が入る部分)の上まで充分に上げられない状態をいいます。
▼自覚症状
・まぶたが重い。特に夕方になるとまぶたを開けるのがつらくなる。
・まぶたがうっとうしい。視野が狭い。
・眼瞼挙筋を余計に収縮させているため、目の奥が痛い、目が疲れる。
・少しでも見やすくしようと顎が上がってしまうため、肩凝りや筋緊張性の頭痛を伴う方々もおられます。
▼他覚症状
・黒目の幅が狭い。二重まぶたの人は二重の幅が広がっている。
・上まぶたの睫毛が皮膚で隠れて見えない。
・眉毛が上がり、おでこにしわが多い。
・顎が上がっている。
下記のような症状があれば、眼瞼下垂症の可能性があります。
・まぶたが重い、開けにくい
・視野が狭い、ものが見え辛い
・眠そうな目だといわれる
・眉が上がりおでこにしわができる
眼瞼下垂の原因
眼瞼下垂はその原因により、以下のように分類されます。
先天性眼瞼下垂(生まれつきの眼瞼下垂)
生まれつきの眼瞼下垂で、まぶたを上げる筋肉自体の形成不全があります。
当科では、最も侵襲が少なく、修正容易なゴアテックスを用いた手術を行います。
後天性眼瞼下垂(生まれた時は眼瞼下垂はなかったが、その後まぶたが下がってきた状態)
生まれた時は眼瞼下垂はなかったが、年齢とともにまぶたが下がってきた状態。
最も頻度の高い眼瞼下垂です。
後天性眼瞼下垂
最も頻度の高い後天性眼瞼下垂を以下の2通りに分けて考えており、手術方法が異なります。
狭義の眼瞼下垂
まぶたを上げる腱膜が緩み、上まぶたの睫毛の生えているラインが下垂している。
腱膜のゆるみが原因の場合は、挙筋前転手術を行います。
余分な皮膚を切除し、腱膜のしっかりした部位を引き出して、腱板に縫合固定します。
治療法
・腱膜のゆるみが原因の場合は、挙筋前転手術を行います。
・下のイラストのように、ゆるんで上方にずり上がった挙筋腱膜付着部を探し出し、元通りの位置に引き出して固定します。
▼症例1
▼症例2
(術前)
(術後)
▼症例3
(術前)
(術後)
▼症例4
(術前)
(術後)
広義の眼瞼下垂
まぶたを上げる腱膜は正常だが、余剰皮膚が垂れ下がり、眼瞼下垂症状をきたしている。
上まぶたのボリュームが視野障害をきたしたり、まぶたの重さの原因になっている場合は、眉毛下皮膚眼輪筋切除を行います。
睫毛のラインや重瞼ラインを触らずに、眉毛の下の余分な組織を切除することで治療できます。
治療法
・上まぶたのボリュームが多すぎ、かつ緩んで垂れ下がっているのが原因なので、前葉組織量を減らして、上まぶたを引き上げる必要があります。
・当科では、最も皮膚が厚い眉毛下部の皮膚と眼輪筋を、合併切除する治療法を行っています。
・睫毛のラインや重瞼ラインを触らないため、眼の印象が変わりにくい状態で治療できます。
▼症例1
(術前)皮膚が睫毛に被さり、視野を障害しています。まぶたが重く感じます。
(術後)睫毛に被さっていた皮膚と眼輪筋を切除しました。傷跡はわかりません。
▼症例2
(術前)まぶたが重く、開けづらいと感じます。
(術後)眼瞼挙筋は触っていません。前葉組織を切除するだけでまぶたが軽くなりました。
▼症例3
(術前)
(術後)
▼症例4
(術前)
(術後)
手術後に予測されること
上記手術に当たり、一般的な局所麻酔手術後の説明に加え、眼瞼下垂の手術の場合は以下のような説明をしております。
・個人差がありますが、手術後まぶたが腫れます。術後1週間の抜糸時には7割がた腫れは引き、1ヶ月くらいかけてかなり自然な状態になりますが、完全に回復するのには数ヶ月かかります。
・皮下出血が生じて青あざのようになり、徐々に下に移動する場合がありますが、数週間で次第に吸収されてわからなくなります。青あざや赤あざは、一時的なものなので問題ありません。
・傷あとは1〜3ヶ月程度は赤くて固くなりますが、次第に古傷になりかなり目立たなくなります。しかし、完全に消失するわけではありません。
・手術をしても、しっかり挙上できない場合は稀ですがあります。また左右差のないよう注意して手術を行いますが、大なり小なり左右差は残ると考えてください。再手術が必要になる場合もあります。
・術後に視力が変わったり、乱視の度合いが変わったりする場合があります。眼球を直接触っているわけではないのですが、角膜に接している腱板に縫合を行うので、多少なりとも腱板の変化が起こり、その結果視力が変わったように感じる場合があります。傷が柔らかくなれば、元通りに復元しますので、術後の数ヶ月間は眼鏡を変えずに様子を見てください。ほとんどの場合は数ヶ月で術前の見え方に戻ります。
・術前からドライアイ気味の方は、目が開くようになると以前より乾燥しやすくなるため、ドライアイの症状がよりはっきりと自覚されることがあります。
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