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コラムカテゴリ:泌尿器科
尿路結石の症状と治療法
公開:2025.02.28
更新:2025.03.11
閲覧数:75view
尿路結石について
尿路結石症は非常に頻度の高い病気で、男性では7人に1人が一生のうちに経験するといわれています。主な症状は突然の激しい痛みで、背中から下腹部にかけて広がることが特徴です。これは、腎臓で形成された結石が尿管に移動し、尿の流れを妨げることで腎盂内圧が上昇したり、結石を排出しようと尿管の運動が活発になるために生じます。
さらに、尿路結石症は再発率が高いことも知られており、約40%の方が再び結石を形成すると報告されています。一度結石を経験した方は、再発予防のために適切な生活習慣や医師による定期的な診察が重要です。
尿路結石はメタボリックシンドロームの1つと考えられており、最近増加の傾向にあります。あなたの生活習慣が結石になりやすいかどうか試してみましょう!
・食事が不規則で食べてすぐ寝ることがよくある
・食事は肉類などの脂っぽいものが好きだ
・アルコールはビールが好きでよく飲む
・ジュースも好きでよく飲む
・あまり水分を飲まない方だ
・牛乳などの乳製品やカルシウムの多い小魚などは苦手だ
・採血検査で尿酸値が高いと言われている
・家族に尿路結石を経験した患者がいる
・かなり汗をかく環境で仕事をしている
・ストレスが多い中間管理職である
10問のうち6項目以上該当するなら危険グループです。該当する方は生活習慣の改善をお勧めします。
結石は主に腎臓(腎盂)で形成されます。結石が腎臓内で成長を続ける場合もあれば、腎臓から外れて尿管に移動することもあります。腎臓に留まるものを「腎結石」、尿管に移動したものを「尿管結石」と呼びます。
腎結石は多くの場合無症状ですが、血尿や発熱を伴うことがあります。一方、尿管結石は突然の激しい疝痛発作(背部の痛み、嘔吐、冷汗)や血尿を引き起こすのが特徴です。いずれの場合も、結石による尿の流れの障害が長期間続くと、腎臓の機能低下を招く可能性があります。
尿路結石と診断されてしまったらどうすればいいのでしょうか?
「ビールを飲んで縄跳びをして結石を排出した」といった話を耳にすることがありますが、すべての結石にその方法が有効とは限りません。結石の位置や大きさ、症状に応じて適切な治療を選ぶ必要があります。
当科での治療法
・体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
衝撃波を体外から結石に当てて破砕する治療法で、麻酔が不要なため外来で受けられる場合が多いです。
・経尿道的尿管結石破砕術(TUL)
内視鏡を用いて尿管内の結石を直接破砕、摘出する方法で、高い治療効果が期待できます。
・腹腔鏡下尿管結石切石術
特に大きな結石や複雑な症例に対して行う手術で、結石を確実に除去します。
症状や結石の状態に合わせて、最適な治療をご提案します。
・体外衝撃波結石砕石術(ESWL)
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、体外から衝撃波を結石に収束させて破砕する治療法です。麻酔を必要とせず、点滴も原則不要なため、外来での治療が可能です。ただし、結石が15mm以上の大きさである場合や感染結石の場合には、入院が必要になることがあります。
本治療にはいくつかの課題もあります。結石が粘膜に癒着している場合、一度の治療で十分に破砕できず、複数回の治療が必要となる場合があります。また、治療後に破砕片が尿管に詰まる「ストーンストリート」と呼ばれる状態や、腎臓の出血(皮膜下血腫)が生じることがあり、これらの合併症が発生した際には入院が必要となります。
当科では、STORZ社製の最新鋭結石破砕装置を使用しており、高い治療効果を実現しています。また、麻酔を必要とするケースが少なく、患者様への負担が軽減される点も特長です。安心して治療を受けていただける環境を整えています。
・経尿道的尿管結石破砕術(TUL)
経尿道的尿管結石破砕術(TUL)は、尿道から内視鏡を挿入し、尿管内の結石を直接確認しながらレーザーで破砕する治療法です。この手術では腰椎麻酔または全身麻酔を用いるため、患者様には痛みを感じることなく施術を受けていただけます。また、体の外に傷がつかないため、身体への負担が少ないのが特長です。
治療は短期入院で可能で、通常の入院期間は4~5日間です。ただし、尿管の形状や結石の位置によっては、内視鏡が結石部位まで到達できない場合があります。また、結石が粘膜に深く埋まっている場合には、破砕が難しいこともあります。
・経皮的腎結石砕石術(PNL)
経皮的腎結石砕石術(PNL)は、腎結石に対する治療法の一つで、特に腎盂全体に広がるような珊瑚状結石にも効果的な方法です。この治療では、背中から腎臓に向かって超音波で確認しながら通路を作成し、その通路を通じて内視鏡を挿入します。そして、結石を直接視認しながらレーザーで砕き、取り出します。
PNLの特徴は、太い通路を使用することで、結石を強力かつ効率的に破砕・除去できる点です。全身麻酔が必要な手術ですが、大きな結石や複雑な形状の結石にも対応可能です。
・腹腔鏡下尿管結石切石術
当院では、2cmを超える大きな尿管結石や、尿の流れを著しく妨げ、高度な水腎症を引き起こしている症例に対し、腹腔鏡を用いた手術を行っています。特に、結石の存在期間が長く、いつからその部位にあったのか不明な場合にも対応可能です。この手術では、結石を確実に摘出できるため、破砕片が体内に残る心配がなく、結果的に治療期間が短縮されるケースもあります。
手術は「ポート」と呼ばれる5mm程度の小さな切開部を通じて行い、鉗子を使用して結石を摘出します。通常、4~5か所の小さな傷で済むため、身体への負担が少なく、早期退院が可能です。
結石の再発率は高く、結石の成分によっては有効な予防法もありますので、定期的な通院での再発の早期発見と生活習慣の改善が大切です。
当院ではガイドラインにあるすべての治療法が選択できます。
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