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コラムカテゴリ:整形外科
股関節の構造と痛みに対する治療法
公開:2025.01.16
更新:2025.03.11
閲覧数:44view
あしの付け根の痛みの原因については様々です。ときに、腰の疾患との鑑別診断も重要です。また、レントゲン検査では異常がないこともあり、原因が不明と言われることもあります。
股関節の構造について
模型図に示すように、股関節の形状は、お椀の形をした臼蓋(きゅうがい)が骨盤にあり、ボールの形をした骨頭(大腿骨)がぴったりとはまりこむ構造になっています。このような構造から、股関節は球関節と呼ばれています。そして、関節を安定するために、股関節は関節包に360度覆われています。また、表在にある大臀筋、中臀筋といった筋肉や、深部にある梨状筋、大腿方形筋などが股関節に動きをあたえます。最後に、大事な部分である軟骨というクッションは水色の部分となります。
なぜ痛くなるのか?
痛みの原因は、クッションの役割を果たす軟骨がすり減ることが最も大きな要因です。
とくに、歩いている時には体重の3~4.5倍の圧迫力が股関節に加わり、走っている時には体重の4~5倍に増加するとされていて、階段昇降、椅子からの立ち上がりでは、体重の6.2~8.7倍の力が、さらに、床や低い位置からの立ち上がりでは、10倍の力が股関節にかかります。
また、軟骨損傷が無いまたは軽度でも痛みが強い場合は、関節の不安定、または、あとで説明する関節唇損傷が原因であることがあります。レントゲン所見で正常であっても、MRIにて診断されることもあります。
股関節の代表的疾患
関節唇損傷
股関節は、骨盤と大腿骨というふたつの関節で形成されています。関節唇は、股関節を安定させる役割があります。右図で示すオレンジ色の部分が関節唇と呼ばれます。その部分が断裂とすると痛みの原因となります。傷んでいる箇所を縫合できる場合は縫合します。
大腿臼蓋インピンジメント
1965年、“head tilt” という用語でMurray先生が疾患のコンセプトを報告され、2003年にGanz先生により大腿臼蓋インピンジメントがより深く理解されるようになりました。下の図で示すように、左側の大腿骨に膨らみがあり(矢印)これをカムタイプと呼びます。右側は骨盤側が飛び出しています。これはピンサータイプと呼びます。骨同士ぶつかり合うことで、関節唇損傷をきたします。
マイクロインスタビリティー
股関節は右図で示すように、強靭な靭帯でつながっています。レントゲンやMRI検査で異常がなくても、こういった靭帯が緩むことで、関節の不安定が生じ痛みの原因になることがあります。
変形性股関節症
変形性股関節症は、日本人の場合大半が女性です。特に臼蓋形成不全症は、日本人女性に多く見られる変形性股関節症の原因の一つです。病態として、関節軟骨の変性・磨耗によって、近傍の骨の変形・破壊や関節滑膜の炎症が起き、疼痛や運動障害からADL障害をきたす股関節疾患です。レントゲンでは、関節裂隙の狭小化、骨硬化、骨棘、骨嚢胞などが認められます。
変形性股関節症に対する専門的治療
減量とエクササイズ
対象疾患
・関節唇損傷
・初期の変形性股関節症
まず、肥満がある方は、減量をお勧めします。体重の4~5倍の力が股関節にはかかります。その為、減量可能あれば、まず体幹を筋力を行い、有酸素運動(プールで運動など)を実践していただきたいと思います。
超音波エコーガイド下関節内注射
対象疾患
・関節唇損傷
・初期の変形性股関節症
これまで、股関節痛の原因と診断され、痛み止めと湿布が中心の治療で、レントゲンでは、手術はまだ早いと説明を受けることがあります。そういった方に、エコーにて股関節の痛みの部位に直接ステロイド注射をすることにより鎮痛を図ることが可能です。
股関節鏡による治療
対象疾患
・関節唇損傷
・臼蓋形成不全が軽度な初期変形性股関節症
・大腿臼蓋インピンジメント
股関節協の手術は、5mm程度の小さな傷で股関節を治療できる新しい手術です。特に、アメリカにおいては、その手術数は年々増加傾向です。直径4ミリの特殊なカメラを用いて治療を行うため筋肉などのダメージも少なく、手術後の回復が早いことが特徴です。また、小さな傷が2-3か所のみで治療が可能であるため、手術の傷はほとんど目立たないという利点もあります。股関節鏡手術は小さな侵襲で「股関節の痛み」を取り除くことができるため、「早期のスポーツ復帰や社会復帰」にとても有効な治療方法です。当院では、カメラによる治療は各科積極的におこなっており、通暁があります。股関節痛に悩むすべての患者さまが、それぞれが望む生活レベル・スポーツレベルに一日でも早く安全に復帰できるよう全力で治療を行っています。
人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty : THA)
対象疾患
・末期変形性股関節症
・関節リウマチ
・特発性大腿骨頭壊死
人工股関節置換術は、傷んでいる軟骨を取り除き、骨盤と大腿骨に新しくカップとステムいったインプラントを挿入します。また、整形外科では一般的な治療法として定着し、手術件数は年々増えています。今では本邦においては、年間6万例以上が施行されています。また、厚生労働省の公開データによれば、人工股関節置換術を受けられる患者さんの平均年齢は68歳です。最近では、若年者においてもインプラントの素材や手術方法などが改良されており、長期に安定した成績になってきています。そして、正確に治療することが術後成績に重要となります。
人工股関節 5つの特徴 ~脱臼しない自然な股関節に早期回復するために~
3次元での手術前のプラニング
3次元解析ソフトZedHip (LEXI社)を用いて、術前計画で設置したステムとカップを整復状態にして可動域のシミュレーションを行います。実際の股関節のうごきについては、コンピューター上で動作解析を行い、ステム、カップ、大腿骨、骨盤の衝突を3次元的に確認します。このシステムを利用することで、コンピューター内で接触した箇所には赤マークが表示されます。これにより正確な術前計画可能となります。
患者さまそれぞれにあった3Dプリンターによるオーダーメイド
患者さまそれぞれ、顔、体格、性別が異なるように股関節の形状も様々です。それぞれの股関節の形状にあうように、3Dプリンターで実物大の股関節模型を作成することで、その人にあった手術支援デバイスを作成することが可能です。いわゆるオーダーメイド手術です。
ナビゲーションによる正確なインプラント設置
正確な術前計画をおこなったものを、手術中に再現するため、日本ストライカー社製のナビゲーションシステムを使用します。これにより、1mm 1度単位で人工関節が設置可能となります。
前方アプローチによるインナーマッスルも温存する手術
股関節には、大きく前方、側方、後方の3つのアプローチがあり、それぞれ、メリット、デメリットはあります。
当院では、唯一のInternervous plane(主要神経損傷がない方法)を用いた前方アプローチを使用しています。これによりインナーマッスルが温存され、早期回復が期待され、脱臼のリスクを軽減した人工股関節全置換術が可能です。
デメリットとしては、習熟には時間と経験を要する点です。術者(薮野)は、海外、国内の施設でトレーニングし、またご遺体を用いた手術トレーニングも施行し、常に技術の向上に努めています。図の矢印が侵入経路です。筋肉同士の隙間から侵入します。
ただし、患者さまによっては、後方アプローチがよい場合は後方アプローチを使用することもあります。(1%程度に行なっています)
ロボットリハビリテーション
術前多くの患者さまは、股関節を数ヶ月から長期にわたり患うことで、機能障害をきたしています。そのため、股関節の筋力低下、関節のうごきの低下を認め、術後すぐには、足はあがりにくいことが多いです。
そこで、歩行時に歩行アシストロボット(HONDA)を使用することに、筋力を助け、歩行時の足の運びを正しくします。それにより、早期に正しい歩行に導くことが可能となります。早い場合は、数日で退院することも可能です。
この研究は、日本リハビリテーション医学会の助成にて行いました。
Honda公式サイトはこちら
費用について
すべて保険治療で行うため、患者さまが支払う特別な医療費はかわりません。
以下のサイトを参考してください。
詳しくは直接、当院来院時に説明いたします。
詳しくはこちら
合併症について
感染症、深部静脈血栓症、肺梗塞、神経麻痺、骨折、人工関節のゆるみ、脱臼
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